ファイユームは地下水ではなくナイル川が水源になっていることから、厳密にはオアシスとは呼べません。古代からのユーセフ運河は街の中心を流れ、この土地を潤しています。
言い伝えによると、ファラオの建築家であったヨセフがこの運河の建設に携わったと言われています。この建設には1000日、つまりアラビア語でアリフ・ユームかかったことが、この土地の名前の由来です。
カイロからわずか車で2時間程、1年を通して温暖な気候に恵まれ、3世紀プトレマイオス時代にエジプトに伝えられた多くの水車や豊かな農耕地で有名です。綿、クローバー、トマト、薬草、果物などが栽培されています。ファイユーム市のスーク(市場)では金、銅製品、スパイスなどが売られ、週に一度は陶器市も開かれています。
スークに面しているのは5つのアーチを持つハンギング・モスクで、付近には15世紀にスルタン・カイトベイによって建てられたクワワンド・モスクがあります。
ファイユームはファラオ時代からの狩猟地で、また当時はクロコダイロポリスと呼ばれ、セベク神信仰の中心地でした。ファラオ・メナはファイユームで狩りを楽しんでいる際にワニに生命を救われたことから、聖なる池に住むワニはその後、神官たちにより飼育され、神として崇められることになりました。
この地域には多くのファラオ時代の遺跡が残っています。第12王朝アメンエムハト3世により建造されたハワラ・ピラミッド、第12王朝センウセルト2世により建造されたラホーン・ピラミッド、第12王朝アメンエムハト3世と4世により建造されたメディネト・マーディ神殿、中王国時代に建てられたカルーン北にあるカスル・アル・サグハ神殿、さらにファイユームの北30km程にグレコ・ローマ時代のモニュメントがあります。
ファイユーム近郊にはキリスト教のモニュメントやイスラム教のモスクもあります。
カルーン湖付近には、ベドウィンの居住地と漁村があり、また野鳥類も多く生息しています。この砂漠の端にあたる地域では、ボート、ウインド・サーフィン、水泳、釣りなどが楽しめます。ファイユーム付近では他に、アイン・アル・シリィーンの温泉やバハレイヤ方向へ40km程のワディ・アル・ラヤンの滝で水泳、ピクニックが楽しめます。
ファイユーム知事と環境省・観光省との間で、環境、農業、民族芸能、手工芸品などを視野に入れて、ファイユームをエコ・ツーリズム地域にしていく観光方針が確認されました。ファイユームは紀元前2世紀に築かれた自然と文化に富んでいる地域で知られています。ファイユーム知事は、ファイユームは世界の希少動物28種類のうち12種類が正棲息していることに加えて、有史以前、ファラオ時代、ローマ時代、イスラム時代、コプト時代からの固有の考古学遺跡を所有しています。このことからファイユームはエコ・ツーリズムには最適の環境にあると述べています。2003年1月、ファイユームにて、ファイユーム知事、環境大臣、観光大臣及びファイユームの実業家を交えて、率直な意見交換が交わされます。
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